「50歳から『ほぼ日』を始めて、上手くいった理由というか、大事なことって何だったんですか?」と鈴木さん。「見栄を張る必要がないわけですよ。僕はとにかく何でもタダでできないかって考えていましたね。そう考えると、何をやりたいか骨子が見えてくるんです。お金があれば何でもできるっていうのは当たり前じゃないですか。これは僕がものすごく貧乏性だったのが良かったのかもしれない」と糸井さん。
「今、振り返ってみて、放送作家は俺の天職だったなって気づけたんですよ。だから『天職なのに後悔はありませんか?』って聞かれるんですけど、天職に就けたんだから、もう後悔ないよって本当に思っていて。糸井さんは、コピーライターや広告の仕事は天職だと思いましたか?」と鈴木さん。「思わないですね。むしろ僕はいいことを考えるのが仕事なんですよ。誰かを喜ばせることや自分が夢中になれること。その場所を僕は自分が作りたいんです」。
「僕がやめる話を聞いた時どう思われましたか?」と鈴木さん。「ああ良かったなと。次のやりたいことよりも辞めるが先にあったんで、戦略的じゃない辞め方で良かったなと思った。次が見えていたら、ちょっと無理している気がするの。」と糸井さん。「次何やるんですかって聞かれるけど、自分の中では次何やるかはさほど大事じゃなくて。大事なのは、辞めるってことなんですよ。これを分かっていただけるのはすごく嬉しい」と鈴木さんもさらに饒舌に。