「僕、2024年の3月31日で放送作家を辞めると宣言したんですけど、それに糸井さんがすごく影響していまして。糸井さんが『ほぼ日』を始めたのは50歳ですよね。自分の中で50代をどう生きるかっていうのが、テーマだったんです。テレビもだんだん見え方も位置も変わってきた中で、自分がまずやめようと考えたんです」と鈴木さん。「確かに僕も似たようなところがあった。次に何をするかより『辞めよう』のほうが先にあったんじゃないかな」と糸井さん。
「30代の頃は、コピーライターとして自分に力があるって、ある種の全能感を感じていたけれど、40代になると『通用しない』って思い知らされる。ゲームにせよ広告にせよ、作品は産んだ途端に離れちゃうんです。だから、あれを作ったのは僕だよ、と言うつもりもなくて。40代はもう1回、勉強したくなった。ビジネスマンが読むような本を、読んでみようかなって。釣りも知識と技術のものだから、学び直しを自分に課していましたね」と糸井さん。
「僕が糸井さんとすごく共感することがあるんです。仕事をしてブレイクしたことによって認知度が出たんですけど、作り手に認知度が出ることによって得する部分もあるんですけど、厄介なことってすごく増えませんでしたか?嫉妬も多いし、ちゃんと仕事しているのか疑われたり」と鈴木さん。糸井さんも「そうですよね。でも僕らはそのおかげで、出ている側と出ない人間との通訳ができる。両方のやっていることやお互いの苦労が全部わかるんですよ」と同じ経験をした様子。